クロスミントン♪Remaking  お悩みの技術を科学的に対策しようとするブログ


屋外でもバドミントンをやりたいというドイツ人プレーヤーの情熱が生んだ「クロスミントン」。
バドミントン技術指導者が、バドミントン、スカッシュ、硬式テニス、武道、投球術など多様なスポーツ技術をベースに、クロスミントン独自テクニックを分析し、お悩みの技術を科学的に対策しようとする技術ブログです。

2017年06月

こんにちは。樋口です。

相手からの打球が前ぎみに浮いて、スマッシュいけるという球や、ちょっと後ろぎみに来た球をクリアなど、上打ちできる球を続けざまに打ち損じた経験はありませんか?

今回はそんな現象をテイクバックのタイミングの視点から考えてみました。
最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。


(ステージ1)
【原因】動いてから、また動きながら、テイクバックをしようとしているため、正しく構える時間が不足している



相手からの高い返球(ロビング)は、クロスミントンの打球が速い分、上打ちでの返球対応時間は思いのほか、短いものです。

その極めて限られた時間内で、動きと打球の2種類の動作をこなさなければならない分、動作の優先順位は重要になります。

実際は、スピーダー(ハネ)の下まで動いてから、打つという動作順番があるので、その順番に従って動作をすると、実は構える時間が不足してしまいます。

上打ちのスイング動作は、約7つの動作が連結した複雑な動作である分、完了まで時間がかかるのです。

ですので、それを後回しにすると、スイング動作とフットワーク動作に時間を喰われて、テイクバックの時間が不足してしまいます。

上打ちスイング動作は繊細で複雑なため、最初のテイクバックフォームが時間不足で崩れると、その後に連結する7動作は全て崩れてしまいます。
(列車の先頭車両が故障すると、後続車両も止まってしまうのと似ています)


(ステージ2)
【対策】構えて(テイクバックフォーム)から動く。構えたまま動く意識をもつ




ロビングが来たら、すぐに構えます。そして、そのまま無意識で動けるように練習をします。


(ステージ3)
【練習方法】自宅等で、構えて打点方向を見たまま、ウロウロ動く練習(シャドウ練習)をする




実際の動作としては、斜め上前を向いて、ラケットを頭上に乗せたまま動くことになります。この動作は日常では使わない動作ですので、無意識で出来るまで鍛錬が必要になります。

具体的な練習方法としては、ご自宅や練習場などで上記フォームをとったまま、前後左右に2〜3歩ウロウロすることが効果があります(右足スタートと決めておくと迷いにくくなります)。

このように基礎的なフォーム(構えや動き)を構築する際は、ラリーの中でおこなうより、シャドウ練習などで、相手打球のプレッシャーがない中でおこなった方が上達効率が上がります。

ボクシングのシャドウ練習や、武道における型練習などと共通する内容と考えます。


【補足】

ラリー内において、正しいテイクバックフォームを作ることは、上打ちの要素の中で、非常に重要な位置を占めます。

構えができていれば、後続のスイングも正しくできますし、構えが不十分でしたら、後続のスイングも不正確になりがちです。

そういう意味でも、基礎に忠実に構えてから動く、構えたまま動くということは正確な打球を打つ上で非常に大切になります。
(上達してくると、動きながら構えることは可能になります)

お試しください。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は「打球後のスピーダー(自打球)は目で追わない(打球後視線編)」です。

※練習等で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。
他の指導法を否定する意図はございません。その点ご理解の上で、お読み、お試しくださればありがたいです。

こんにちは。樋口です。

クリアやスマッシュなどで、打球が飛ばなかったり、スマッシュがとても遅かったり、そもそも打てなかったりした経験はありませんか?

頭上で打つ「上打ち」は、スイングの構造が非常に複雑になっています。ネットが高い分、上打ちが必須のバドミントンプレーヤーでさえも、悩んでおられる方はたくさんいらっしゃいます。

今回は、上打ちのこれらの現象の原因と対策を、テイクバックのフォームとスイングの距離という視点で考えてみます。

最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。



(ステージ1)
【原因】ラケット面先端を最初に上に挙げるテイクバックをしているため、スイング軌道が短くなってしまい、パワー不足で打球が飛びにくい




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スピーダー(はね)を打つ際に、ラケット面を床に垂直に立てようとして、ラケット面先端から上げてしまうと、手首が招き猫が手招きするような動作(背屈←→掌屈)になる分、前腕(手首〜肘)の筋肉が伸びきったところまでしか動かないので、1mちょっと程度しかスイングできません(手首の可動域が狭い)。



ですので、パワー不足から、打球の飛距離がでなかったり、スマッシュなどのスピードが上がらなかったりします。



(ステージ2)
【対策】右肘を肩の高さで後ろに引く「弓引き動作」のテイクバックフォームをおこなう



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このテイクバックをおこなうことで、ラケット面は、前頭部前→背中左→背中右→右耳横→右目右斜め前→胸部前方→左腰後ろと、非常に大きなスイング軌道を描きます。




スイング軌道が非常に長くなる分、発生する打球パワーも大きなものになります。よって、打球も飛距離が出て、スマッシュなどの攻撃球もスピードが大幅に増します。


【注意点】
スイング軌道が長くなるということは、スイングに要する時間も長くなります。そのため、必ず上記テイクバックを素早く作ってから動く、作ったまま動く練習が必須にになります。

動いてからでは、テイクバックを作る時間は残されていません。これがフォーム崩れにつながります。

お試しください。


最後まで、お読みいただきありがとうございました。

次回は「上打ちで当たり損ねや振り遅れが多い。なぜ?(テイクバックのタイミング編)」です。

※練習等で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。
他の指導法を否定する意図はございません。その点ご理解の上で、お読み、お試しくださればありがたいです。

こんにちは。樋口です。

コート用のテープをしまうのは時間がかかりませんか?

品川クラブ所属の渡辺和明さんが、コート用テープの巻き取り器を開発されました。

渡辺さんのご厚意で、みなさまにノウハウをご紹介させて戴きます。

非常に短時間で簡単にコート用テープを格納でき、かつコストパフォーマンスにも優れた逸品です!
(何と200〜300円!)。

渡辺さんの創意とご努力に敬意を表します!



【ラインテープ巻き取り器:作り方と使い方】



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以下、渡辺さんからのメッセージです。

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コートテープは、単に巻き取るのに時間かかるし面倒だなーと
(手がつりそうになるしw)

長いメジャーみたいに 
巻き取れればなーと
楽したい気持ちから作りました♪

材料費216円ってのが良いでしょ~♪

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是非、お試しください!
今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

※練習で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

こんにちは。樋口です。

低く目のサービスを打とうとすると、相手コートより手前に落ちてしまい、フォルトしてしまう経験がありませんか?

今回はサービスのショートアウトの原因と対策をフォロースイング視点で考えてみます。
最後までよろしくお願い致します。


(ステージ1)
【原因】相手の打球の反力を使えない分、肩支点のスイングだけでは低空飛行を維持するためのエネルギーが不足している

ラリーの中のアンダーハンドストロークでは、相手のストロークの飛行エネルギーをラケット面のガットへの衝突により、反力として打球に利用できます。

そのため、肩支点のスイング軌道のみでも返球が可能です。しかし、サービスでは相手の速いストロークのエネルギーを利用できない分、独自でエネルギーの創出、補給の必要が生じます。

クロスミントンはバドミントンと違い、ネットがない分、サービスは極力低くて速いほうが攻撃として効果があります。

しかし、相手コートまでの距離があるため、通常のストロークと同様、肩や手首視点のスイング動作だけではパワー不足なのです。その結果、低い弾道でサービスをすると、サービスライン手前でアウトするリスクが高くなります。

加えてサービスはフォアハンドですので、肘を伸ばす動作(伸展)が使えません。


(ステージ2)
【対策】インパクトと同時に、上腕(肘~肩)を左に捻じる動作(上腕内旋)を加える


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エネルギー補給として、インパクト時に上腕(肘~肩)を左に捻じる動作(上腕内旋)を追加します。

フォアハンドはバックハンドと違い肘の曲げ伸ばし動作(伸展)が使えない分、腕の捻じり動作(回旋動作)を利用します。

腕の回旋を使うと、ラケットの打点と腕までの間の距離がスイング回転半径になる分、肩支点のスイング(肩~打点までの距離がスイング回転半径)よりスイング回転半径が小さくなります。

スイング回転半径が短くなると、ラケット面のスイング回転速度が上がるという力学法則(角運動量保存の法則)がある分、打球速度が向上します。

この上腕を捻じる力を、肩支点の通常のスイングや下半身の重心移動のエネルギーに追加してサービスの低空飛行速度や距離向上に貢献させます。

また、上腕を旋回させることで、上腕にある大きな筋肉群(上腕二頭筋、三頭筋)を使うことができるので、力がより強く発揮できることと、肘関節で前腕(手首~肘)が繋がっている分、前腕の筋肉も同時に使うことができ、より力の発揮が強く効率的に行われます。


(ステージ3)
【上腕の捻じりを使うタイミング】インパクト直後、やや前に押したと感じたタイミングで使う

上腕(肘~肩)を使う動作は、ラケット面先端を右下から左上までプロペラのように旋回させます。これをインパクト直前に行ってしまうと、ラケット面先端が左上に行ってしまう分、ラケット面は左斜め下を向いてインパクトを迎えることになります。

その結果、スピーダー(ハネ)は斜め下に向かって飛行することになり、すぐ床に着いてしまいますので注意が必要です。

ですので、インパクト直後、やや前に押したと感じたときに左旋回動作を開始することで、ラケット面の軌道(移動距離)が左斜め上方向に伸びることと、スイングスピード(加速度)が上がります。

これらにより、スピーダーに加わるパワーが増加する分、飛距離が伸びます。

お試しください。

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました。

※練習で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。他の指導法を否定する意図はございません。その点、ご理解の上で、お読み、お試しくだされば、ありがたいです。

こんにちは。樋口です。

試合でマッチポイントをつかんだのに、急にミスを連発したりして、相手が連続ポイントで逆転負け、またはギリギリで逃げ切ってヒヤリという経験はありませんか?

今回は脳科学の視点から、この逆転負け現象の原因と対策を考えてみたいと思います。

最後までお付き合いのほど、宜しくお願い致します。


(1) 脳は「できた」と判断すると、パフォーマンスが下がる

最近、脳科学の進歩とともに、この逆転負けを分析した学説が出されています。

この終わり間際の逆転負けの原因は、脳のある習性に基づきます。脳は、期待された結果が出ると判断した時点で、パフォーマンスが下がってしまうのです。

脳の中に入った情報は、頭の前部にある脳の部分(前頭葉内の前頭連合野)で、この情報が役立つのか?否か?の判断をします。

加藤俊徳氏「脳の強化書」より引用

これが役立つ情報と判断されると、脳の中央付近の部位(線条体)に、脳神経を伝って転送され、思考や記憶が行われます。この神経群は、自分に達成感や充実感をもたらすと判断された情報には、活性化するという特徴があります。

ただ曲者なのは、達成感が見込める状態で活性化するのであって、達成してしまったり、明らかに達成できると脳が判断すると、血流量が落ち、働きが鈍ってしまうのです。


(2)ゲームポイントで、「勝てたも同然」と判断してしまう脳

試合でも、先に14点や15点を取ってしまうと、脳が勝手にもう達成(勝てた)できた、できたも同然と判断して、上記の脳神経群のパフォーマンスが下がり、結果、集中力が落ちて、ミスをしたりして、相手に逆転を許すということになります。


(3)2〜3点多く取るつもりで、ゲームポイントでも、脳パフォーマンスを下げないようにする

結論は、脳が達成感を持たないように、言葉でごまかすのが一案です。例えば、13点を取ったくらいから、18点を想定し、あと5点と声かけします。可能な環境なら、1点取るごとに引き算して、声かけします。勿論、選手自身がそう信じ込んだり、パートナーと示し合わせることも効果的です。

競技中は、血液(糖質というエネルギーを運んでいる)が筋肉に多く行ってしまうため、脳はエネルギー不足で、本当にあと5点か?という検証をやっている余裕はあまりありません。

そこで、脳は14点や15点になっても、パフォーマンス(集中力)を下げにくくなります。

検証では、残り点数を断言したほうが、効果がありました。「あと5点取るつもりで〜」ではなく、「あと5点取ろう」です。

お試しください。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

※練習等で、実際に有益な効果があがったことを確認の上で、報告しておりますが、技術の答えは、一つではないと考えております。
他の指導法を否定する意図はございません。その点ご理解の上で、お読み、お試しくださればありがたいです。

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